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【香港医療制度】香港で働く際に知っておきたい基礎知識をご紹介。日本との違いも解説

2024.6.12

香港に駐在で来た多くの方々から驚かれることのひとつが医療制度です。香港の医療制度や医療に関する公的保障制度は日本と大きく異なります。「膨大な医療費がかかった」、「なかなか治療を受けられなかった」、などということのないように、医療・保険制度の仕組みを理解しておきましょう。本記事では、駐在員になりたての方、今後香港への赴任が決まっている方などに、ぜひ知っておいていただきたい医療制度に関する情報をお伝えします。 

「医療保険値上げにどう対応するか?」「健康診断のニーズにどう対応すべきか?」とお悩みの企業担当者の方も、ぜひ本記事を参考にしてください。

1.香港と日本の医療制度はどこが違うのか

香港の医療水準は高いため、もしも病気になっても治療面では安心です。しかし、医療費の計算の仕方が日本とは大きく違い、費用面では知らずにいると大きな損となる場合もあります。まずは香港と日本の医療制度の違いを説明します。

1-1.香港には皆保険制度がない

香港には日本の(国民)健康保険のような公的医療保険がありません。そのため日本のように一部を自己負担というのではなく、医療費の全額が自分負担になります。 

しかし実は、公的医療保険がないというのは、日本のように医療行為ごとに医療費が決められていないことも意味します。 医療費の計算において、日本では「診療報酬」にもとづき、初診料や再診料、処方箋料など、それぞれの医療行為が全国どの医療機関でも統一されています。しかし香港は、すべてが自由診療となり医療費は医師によって異なります。例えば、インフルエンザで医師の診察を受ける場合、どこで・どの医師に診てもらうかによって請求される金額が変わります。治療が長引きそうな場合や入院・手術が必要になる場合などは、とくに注意が必要です。実際に治療を受ける前に、あらかじめ治療内容や治療にかかる費用を確認しておきましょう。

1-2.香港と日本の医療制度の違い

医師が個人で経営するクリニックを除き、香港では病院で働く医師と病院には雇用関係がありません。患者はまとめて支払うものの、その内訳は「病院請求分」と「医師請求分」に分かれています。病院分は、例えば入院した際の部屋代や手術室(利用)代などがあります。一方、医師分は、例えば診察料、治療代、手術(技術)代などです。自由診療の香港では、これらの費用は医師自身が決めるため、同じ病院で診療を受けるとしても、医師によって金額が違います。 

ここで知っておきたいのが金額の決まり方です。一般的には医師の経歴や技術レベルによって変わると考えがちですが、香港では入院した時の病院の部屋の種類によっても変わります。日本では個室を利用した時の「差額ベッド代」はありますが、診療・治療内容が同じであればその他の医療費は基本的に同じです。一方、香港ではどの部屋を使用するかによって部屋代のみならず、薬代や医師が部屋を訪問した際の診察代なども変わります。通常、部屋のグレードが上がるほどすべての費用も高くなり、総じて退院時に支払う医療費に大きな違いが出ますので注意してください。

・公立病院と私立病院の違い

香港の医療機関には、大きく分けて「公立病院」「私立病院」「クリニック」の3種があります。 

香港には公的医療保険がない代わりとして、公立病院での医療費は安価です。ところが、公立病院は急を要する患者が優先で、救急車で運ばれる先も自動的に公立病院となり、患者や家族の希望によりません。つまり、救急以外の患者は診察までに長い期間待たされます。手術も数ヵ月待ちになるほどです。そのため全国民が安心して利用できる施設とは言えません。 

対して、私立病院は誰でも受け入れてくれますが、医療費が高いです。とくに専門医の医療費や、香港特有の「部屋による医療費の違い」などによって総合的に高価になります。ちなみに、医療費が高いから医療レベルが高いわけではなく、むしろ公立病院のほうがレベルは高めです。 

クリニックは、一般的に「かかりつけ医」としての役割を担っています。クリニックを経営する医師は一般医であることが多く、まずはクリニックで診てもらい、専門医への紹介状を書いてもらうというのが香港での一般的な医療の受け方です。近年では日本でもかかりつけ医制度が推奨され、大病院に行く際には紹介状を求められるようになりましたが、香港ではすでに定着しています。 

香港で病院にかかる際には、まずクリニックを利用し、一般医の診断に応じて紹介状を書いてもらってから私立病院を利用するといいでしょう。重篤な症状の場合は公立病院の利用がおすすめです。

2.個人・法人ケース別:香港で社会保険を活用するには

医療費をカバーするために、香港でも民間保険会社の医療保険があります。医療費がとても高くなりやすい香港では、医療保険での備えは必須です。その際、検討すべき事項について個人と法人それぞれのケースで説明します。

2-1.個人のケース 

お子様に入院が必要になった場合など、なんとなく安心できるイメージのある私立病院・個室を希望される方は多いかもしれません。できるだけ手厚い補償保障を得られるような保険への加入が求められます。ただし、基本的には補償が手厚くなるほど保険料も上がります。 

また、保険によっては保険金支払額の上限が定められている場合もあります。医療費が保険でカバーしきれない可能性もあるので注意が必要です。例えば、海外旅行保険ではカバーできる範囲が決められていますので、加入される際には補償の範囲や金額を確認しておくことが大切です。 

企業が福利厚生の一環として従業員を加入させる「団体医療保険」もあります。団体医療保険でカバーされれば安心ですが、加入は企業の任意ですので勤務先に確認してみましょう。 

加入している保険に関する不安やお悩みは、弊社までお気軽にご相談ください。

2-2.法人のケース

企業が「団体医療保険」に加入しておくと、駐在員やご家族も安心です。また、現地採用においても団体医療保険は人材を確保する上でのアピールになります。 

補償内容は各企業の選択によって異なりますが、従業員1人あたりの年間保険料として平均5,000ドル〜7,000ドルで加入されている企業が多いようです。なお、病気やケガによる年間の保険金の支払い額(事故率)によって翌年の保険料が変わってきます。そのため保険金請求が多いと値上げされるケースもあります。 

香港の医療費はここ数年で毎年7〜9%程度値上がりしています。従業員の安心のためには保険の支払上限額を上げる必要も出てきそうですから、これに対する保険料増額も意識しておかなければなりません。 

コストとベネフィットのバランスをどうとるか、経営課題の一つとして従業員の健康管理やケガ防止などへの工夫が必要でしょう。ブローカーの立場として、弊社では一気に保険料が上がらないようサポートを計画的に進めさせていただきます。

2-3.保険金のお支払いが対象外になるケース

保険金支払い対象外となるケースについても知っておきましょう。 

対象となるかどうかは基本的には保険種類によるのですが、専門医の治療費は一般医の紹介状によって行った場合でなければ保険金が支払われない場合があります。 

また、香港でメジャーな治療方法である東洋医(中医)の治療(漢方・鍼灸・整体・接骨含む)は対象外となる点は特に注意しましょう。ただし、東洋医でも登録医による治療の場合は支払い対象となる場合もあります。団体医療保険のように補償内容を調節出来るものであれば、事前に東洋医(中医)を補償の対象とすることも可能ですので、契約時にしっかりと決めておきましょう。

3.香港で近年高まる健康意識

保険加入を検討する際には、現地の医療事情だけでなく人々の健康意識を知っておくのもおすすめです。

3-1.歯科治療に対する意識の変化

香港では、ここ数年で歯の健康に対する意識が変わってきています。一般的な医療保険では歯科治療に対する補償はありませんが、国民の意識変化に応じて特約という形で歯科治療に対する補償を付けられるケースも出てきています。

3-2.健康診断に関する意識の変化

香港は日本と首位を争うほど平均寿命が高い国です。高齢化の進行とともに健康に関する意識が高まっており、健康診断も福利厚生の一環としてニーズが高くなってきています。企業がこのような福利厚生にも気を使っている点をアピールしておくことは人材確保の面でも効果的でしょう。

まずは日本との違いを押さえておくことが大切

日本と香港では公的医療保障や医療制度の仕組みが大きく異なります。香港に駐在で来られた家族の方々などで、医療機関に受診して驚くような金額を請求されたというのは実際にある話です。日本との違いを事前に知っていれば避けられそうな話ですが、香港の人にとっては当たり前のことであり、日本人に対して説明する必要性自体を感じていないというのが理由でしょう。 

個別の治療や支出に関しては、医学的な状況によっても異なるため、診察した医師にしか分からない事も多く、お答えすることは難しいと思います。しかし、事前に制度の違いや香港の医師の考えかたなどを知っておくことで、咄嗟の判断を判断を求められた時に正しい判断をすることが出来る可能性が高くなります。弊社は保険に関することはもちろん、医療制度や国民の健康意識に関するトレンドも押さえており、日本語で説明できる強みがあります。多額の医療費がかかってしまってご自身や従業員が悩んでしまう前に、ぜひご相談ください。